『バスを待ちながら』
作:МАРИЯふみえさん
「ねぇ今日学校でさ、言われちゃったんだ。」
「?」
「う〜〜〜ん、あのね、いいや、やっぱり止めとく。」
「言いかけてやめんなよ……。」
「だって……、あんまし楽しい話じゃないもん。」
「……。」
・・・まもなく2番線に川北町経由鶴ヶ台行きが入ります。御乗車される方は白線に沿って御並びください。このバスは18時20分発です。
「来たよ。」
「……まだいい、次のにしとく。」
「現国の教科書出して何やってんだよ。」
「うん、宿題。」
「……俺さやっぱり第一志望変えようかと思って。」
「だってお母さん反対してんでしょ?あそこ。」
「まぁね。おやじも良い顔はしてない。好きにしても良いけれど文学部なんか出たって就職無いぞって……。」
「でも行きたいんでしょ?」
「だからさ。」
「授業料とかどうすんの?」
「バイトしながら何とかするかなぁ。」
「へぇ、凄いんだ。……ねぇこの○○○○○の所わかんないや。何だろ……。」
「それはね、ここの所がそのまま書き込めば解答になるんだよ。」
「う〜〜〜ん、あ、本当だ15文字以内で入る。さすがぁ、文芸部部長。」
「やだなぁ、その言い方。ちょっと腹立ち。」
「ごめん……。」
・・・まもなく8番線に柳町経由緑が丘行きが入ります。御乗車される方は白線に沿って御並びください。このバスは18時55分発です。
「ひろ君の来たよ。」
「俺も次のにしとく。」
「ひろ君のとこ進学校だもんね。皆期待してるよね。」
「……成績良いからこいつは医学部受験とかあいつは出来ないから文学部とか……。」
「やっぱね、期待されるよね。ひろ君出来るし。」
「俺さ……。」
「ん?」
・・・まもなく2番線に川北町経由・・・
「バス来たぜ。」
「う〜〜〜ん、まだ良い。次にする。」
「じゃ俺も。」
「うふふ、駄目だよひろ君。バス無くなっちゃうよ。またお母さんに怒られちゃうよ。」
「大丈夫さ、まだ沢山有るから。」
「そうだね、いっぱい選べるんだよね、まだ。」
「終バスまではまだ時間が有るからね。」
「……うん。」
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